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Amazonレビュー
2010/01/23
「色っぽい」
小説も読んだし、テレビドラマも見た。
でも、このマンガを読んで、初めて「こんな話だったんだ」と発見した気がします。
ものすごく、色っぽい話じゃないですか・・・
主人公のツキコさんも、センセイも、脇役たちも。
この色っぽさは谷口ジローさんのマンガならではということになるのでしょうが、谷口さんのマンガを読んでいて、
登場人物がこんなに色っぽいと思ったことはない。
(どちらかといえば、性の匂いを感じないという印象が強い)
これは原作と谷口さんが引き起こした化学反応なのかもしれない。
2009/12/20
「心にしんとしみる絵の味わいのあること。堪能させられました。」
この作品の静謐さを湛えたたたずまいは、音楽に例えれば、『ショパン:ノクターン(全曲)』に通じる味わいがあるかなあ。ツキコさんとセンセイの気持ちがふわりと通い合う、そのほのかな情感がうまく掬い上げられていて、改めて、谷口ジローの絵の素晴らしさいうのを感じましたね。
空に浮かぶ月も、暮れなずむ町の灯りも、公園の木に吹く風も、森の静けさ、花見の賑わいも、そうした絵のひとつひとつが、心にしんとしみてくる。なつかしい気持ちに誘われる。あたたかな命が通う絵の見事さに、何度もため息が出ました。
川上弘美の原作の味を生かした間(ま)の取り方の旨み、ゆったりと歩くテンポのリズム感も、実に素晴らしい。<「先生」でもなく 「せんせい」でもなく カタカナで「センセイ」だ>という文章を描いた冒頭二頁から、「おっ!」と引きこまれましたねぇ。この掴みのうまさは天下一品、抜群にうまいっす。
こたつに母親とふたり、ツキコさんが湯豆腐をはふはふ言いながら食べるシーン。ここは、藤沢周平の『よろずや平四郎活人剣〈下〉 (文春文庫)』の一場面がオーバーラップしました。さすが、『孤独のグルメ 【新装版】』を描いた谷口ジローだけあって、食べ物を食べ、酒を飲むシーンの絵は絶品です。おそれいりました。
おしまいに、本単行本の帯に記された原作者と作画家の言葉を引かせていただきます。
<正直なところ、このような恋物語を描いたのは初めてのことです。ほとんど小説のままに、センセイとツキコさんといっしょに歩いてみよう。そう思った。>──谷口ジロー
<こういう話だったんだ! 谷口さんに描いていただいて、あらためて、いや、はじめてほんとうに、知ったような心地です。>──川上弘美
2009/11/08
「谷口ジローと双葉社」
双葉社と谷口ジローの関係は本当に長い。谷口ジローの作風が変ってからもずっと続いている。現在の作風(と画風)になってからの谷口ジローの作品は非常に地味で大ヒットを飛ばすとは到底思えない(とはいえ昔もヒット作がない)のだが、それでも両者の関係が切れることはなかった。現在の谷口ジローは自分の描きたいように描いているように思う。単純なわたしは、この厳しい時代、売り上げに貢献するとは思えない、彼の地味なマンガを連載するという事実だけで双葉社を尊敬してしまう。
この小説を原作とすることを谷口ジロー自身が思いついたのか、編集者が提案したのかはわからない。そして、わたしは原作を未読なので彼が原作をどの程度忠実に再現したのかどうかはわからない。
ただ、彼が「ほとんど小説のままに、センセイとツキコさんといっしょに歩いてみよう。そう思った。」という文章を寄せているので、きっと、彼は原作の世界を忠実に再現しようとしたのだろうと思う。
でも、出来上がったのは(まだ完結していないが)はやっぱり谷口ジローの世界だなぁと思わせるものだった。ツキコとセンセイの距離感、漂う空気は谷口ジローの作品そのものだった。
私は彼が劇画(本人は劇画を描いていたつもりはないらしいが)の時代からのファンであり、彼の作風の変化も見続けてきたつもりだ。どの時代の作品も好きで、新作が発表されるたびに喜んでいるのだが、その度に現在の彼にどうしても描いて欲しい作品を思い浮かべてしまう。それは「事件屋稼業」の続編だ。これは、谷口ジローの初期の代表作なのだが、私が今一番読みたいのは年齢を重ねた谷口ジローが描く年老いた主人公「深町丈太郎」なのだ。
彼の作風が現在の静謐なものとなってから長い時間が流れている。絵柄も変化している。そんな彼が初期の作品の続編を描こうとする気持ちはないように思う。でも、彼の描くマンガを読み続けてきた自分は、ここ数年彼の新作が発表されるたびにそんな気持ちが強まっていくような気がしている。
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