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Amazonレビュー
2009/11/21
「社会派漫画家がお金を通して見た人間と社会」
「世の中の裏側というのは、自分ではっきりと見抜かないといけない。いったいだれが儲けているのかということを考えていけば、案外、裏側が見えてくるのである」。
お金を通して見えてくる人間や社会の本質について「ナニワ金融道」で有名になった著者が考えをまとめた本。支えになっているのは、工業高校を卒業してから職を転々として様々な苦労をした経験、44歳にしてようやくデビューして社会派の漫画家として活躍して題材を集める中で見てきた人々や世の中の裏側、ドストエフスキーの「罪と罰」やマルクスの「資本論」などに対する著者なりの解釈である。
ところどころ辛辣ではあるが、著者は、ゼニを通して見えてくる人間の本質や欲望に対して、それをあるがままの興味深い対象として受け入れようとする姿勢を貫いている。だから、職業に貴賎はないというような世の中の立て前に対しては、自らの苦い体験に基づいてきっぱりと反論している。
「こういういい加減な世の中になってくると、人間には哲学が大切になってくる」「人間は自分が貧乏人であると自覚しているほうが、人生の傷は少なくてすむ」。
気軽に読める本だし、著者の主張の全てに賛同する必要もない。しかし、普段とは少し違った視点でお金や人間や社会について考えてみたくなるきっかけをくれるという意味で、面白い本だと思う。
2009/06/05
「社会へ船出する者たちに対する導きの書」
もし氏が存命であったなら、ネットカフェ難民とか貸し剥がしとか振り込め詐欺とか、世相を反映したすっごい面白い漫画を描いたんじゃないかと想像がふくらみます。
本書は冒頭から、百兆円の約束手形を切って銀行をパニックに陥れる絵図など、期待通り穏やかではありません。が、読み進めていくと、生きていく上で当たり前とされることが愛情をもって書かれていることに気づきます。
青木雄二といえばマルクス。マルクスといえば社会主義。社会主義といえば資本主義との対立。資本主義との対立を唱えるうっとうしい奴とは、付き合いたくないなぁ...。みたいな先入観をもたれている方にも一読をお勧めします。付言すると、著者が資本主義を否定しているとは思えません。立場はともかく、「資本主義か社会主義か」「表か裏か」「俺かおまえか」のような単純な構図で、この社会を読み解くことはできないことだけは読み解くことができます。
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