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Amazonレビュー
2009/10/11
「ありがとうな思い出」
浅田次郎著 『月島慕情』文芸春秋社。
「シューシャインボーイ」という短編に感動です。
涙です。
ありがとう、の言葉の力に、菊治父さんのまごころが、どんなに秘められていたのか?
人と人とのご縁、ありがとうの心、通い合う真心。
すべてに通じる美しさ、
そんなハートを感じました。
2009/01/15
「ひとつ分からないことが…」
著者の作品は、「地下鉄に乗って」と「蒼穹の昴」、「中原の虹」しか読んだことがなく、短編はこれが初めてだ。 「平成の泣かせ屋」の異名に警戒しながらだったが(小説も映画も、「泣ける」を売りにしているものは嫌いだ。「泣く」ことが目的化するのは本末転倒だと思う。)、なかなかどうして。 おそらくこの湿度、短編で終わらすから許容範囲なのだろう。 このウェット感で長編だと、多分ベタベタ…と感じるはず。 全て終わらせ方がいい。 現在30代だが、これは20代では理解出来なかったのでは、と思った。 「泣かせ」と言っても、それなりに捨ててきた過去が多い年代じゃないと、泣けないだろう。 何もかも、全部を書いているタイプの小説ではなく、後は推してはかるべし…的なラストが多い。 で、実は私もひとつだけ分からない(笑)。 ラストの「シューシャインボーイ」、菊治さんの望んでいたことは何だったのでしょう? 何に満足して下さったのでしょう? 7編中の白眉だと思うし、実際私も一番好きな話なのだが、ここだけは結論を言葉ではっきり書いて欲しかった。 もちろん、「何」と即物的に書かないことが、作品の質を高めていることは分かっている。 ただ、その「何」を理解するには、私の人生短すぎるようで(笑)。
2007/08/16
「安心・安定」
短編集です
「月島慕情」物心の付いた頃から遊郭にいるミノに身請け話が舞い込むが
「供物」20年前に別れたかつて夫の骨を拾って欲しいとの電話で訪ねることにした初江だが
「雪鰻」自衛隊駐屯地で当直が聞いた師団長の鰻にまつわる過去
「インセクト」学生運動の影響でアルバイトに明け暮れる悟が、隣人にした親切が
「冬の星座」かつての恋人の息子と過ごす事になったお通夜で
「めぐりあい」温泉街でマッサージ師をしている時枝の一夜の客は
「シューシャインボーイ」銀行で早期退職の推進役を務めた男の次の就職先は、馬主の運転手
浅田さんは、短編も長編もどちらも安心して読めてる数少ない作家だと改めて実感しました。
2007/05/17
「しみじみ」
著者が現在執筆中の長編は「中原の虹」という、中国を舞台としたものだ。
前回の大作「蒼穹の昴」もやはり、中国を舞台にした大河的作品だった。
どちらも、すばらしく感動的な物語であるが「泣き」は重視されない。
「泣かせの浅田次郎氏」なのだから、それを味わいたい。
そういう意味では、この短編集は、好適だ。
著者が大河的作品に取り組んでいる理由は、おそらく代表作を仕上げたいのだと思う。
それはそれで、我々に、大きな感動をもたらしてくれている。
一転、この短編集は、しみじみと味わい深い。
表題作の舞台は、明治末期から大正にかけてと思われるが、子供が売られるのが哀しい。
しかし、売られた後の人生は、波瀾万丈ではあるが、人間らしさを見失っていない。
その他の作品も、いくつかは、主人公は人生を斜めに構えている。
そうせざるを得ない、不幸が前提が、あるにはある。
しかし、物語の展開が人の心を大きくえぐる。
本書は、文字がゆったりと配列されている。
一字一句を、かみしめる様に読むと、いくらでも味が浸み出してくる。
著者の本領発揮の、傑作短編集だ。
2007/04/27
「人の優しさを知る短編集」
浅田次郎さんお得意の「ちょっと泣けるいい話」を集めた短編集です。
どのお話もジーンとした余韻を残します。
なかでも表題作の「月島慕情」には熱いものが込み上げてきました。
誰かが幸福になるということは、
その影で涙し、悲しい思いをしている人が必ずいるということ。
その時に人として自分の幸福を選ぶのか、他人の幸福を選ぶのか・・
ここでどちらを選べるのかに人間の資質が見えます。
「あたし、あんたのおかげで、やっとこさ人間になれたよ」という
ミノの言葉の深みに泣けました。
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