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発売日:2006-11-30
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天使が開けた密室 (創元推理文庫)
2008-01-30 ▼ おシャレなタイトルの佳作
推理小説を手にすることはあまりないのだが、
可愛らしいカバー絵に釣られて購入。
もともとライト・ノベルとして創作された作品だけあってか、
気負わず楽しく読めた。
『青春(学園)』、『推理』、『ラブ・コメ(但し発展途上)』の
三要素を詰め込んだせいか、『推理』の要素を重んじる向きには
ストーリーが冗長に感じられるのかも知れない。
『青春』と『ラブ・コメ』の匙加減は悪くないと思う。
『推理』に関しては、やや物足りない部分もあるが、
どうか読了後にもう一度、本書のタイトルを読み直して頂きたい。
巻末の解説でも指摘されているが、タイトルに込められた
ダブル・ミーニングの巧みさに舌を巻くことでしょう。
現状ではあと2編、続編があるようなので、そちらも是非読んでみたい。
そう思わせる実力を持った作品であることは確かである。
本格的ミステリを読みたいのだが、何を読んだらいいのか分からない
ー そんな私のようなミステリ初心者には文句無しにお勧めです。
2007-12-16 ▼ もう少し工夫を
2001年に富士見ミステリー文庫から出た『激アルバイター・美波の事件簿 天使が開けた密室』の復刊。短篇「たった、二十九分の誘拐」が加えられている。
ライトノベルとミステリを融合させた富士見ミステリー文庫から出たこともあり、非常にソレっぽい本になっている。登場人物が定型的すぎる点、筋立て・雰囲気・エピソードのバランスが悪い点などは、読んでいて気になった。
トリックはそこそこ。大胆で面白い。しかし、真相があまりにもバレバレなので、少しでもミステリを読んでいる人なら、かなり早い段階で犯人が分かってしまうだろう。もう少し、真相を隠すような工夫が欲しい。
キャラクターに魅力がないのが、最大の欠点。
2007-11-27 ▼ 「天使」と「密室」
▼あらすじ
行方不明になった父を捜すための資金稼ぎとして、日々アルバイトに励む高校1年生の倉西美波。
そんな美波に「一晩寝てるだけで五千円」というおいしいバイトの話がまわってくる。
しかし、そこで彼女を待っていたのは「死体」だった!!
▼感想
作品全体の雰囲気は、ライトノベルという言葉が存在しなかった頃の少女小説や赤川次郎作品を思わせるクラシカルなもの。
登場人物もいかにも、という類型性を感じさせますが、逆にそこを「お約束」として受容できる人は、楽しめると思います。
主人公の美波は、時に猪突猛進な無鉄砲さを発揮しますが、基本的には引っ込み思案で泣き虫な女の子。
「父親捜し」という目的がなければ、バイトもやっていないようなタイプです。
そんな“箱入り”の彼女が、バイトを通じて世間の厳しさに触れつつ、
持ち前の“事件引き寄せ体質”(?)によって、否応なく厄介事に巻き込まれていく、という青春ミステリーです。
さて、本作ではタイトルに注目しておいて下さい。
ここでの「天使」と「密室」は、ダブルミーニングであったことが読み終えてみるとわかります。
文字通り、「天使」の存在によって「密室」が開かれる(≒事件解決)ことになるのですが、別の見方をすれば、
「天使」の存在によって「密室」がつくられた、とも取れるところが、この小説の興味深い点です。
本シリーズには“古き良きジュブナイル”といった風情があるので、今後ともそこを大切にしてもらいたいですね。
2007-04-12 ▼ 江戸言葉が語る本格探偵小説
これは大変な作品である.江戸生まれの親を持った娘を祖母に持つ東京者の私にも本物としか見えない生粋の古い下町言葉を女子高生が話すとは.そうして滅法面白い学園物に見えるけれど実は水も漏らさぬ本格ミステリーであるとは.そもそも本格物は,作るのに疲れるものなのに,これだけの趣向を凝らすことが出来る作者がこの世に住んでいるなんて信じられない気がする.そして,この傑作が絶版になっていたのが新たに創元推理文庫の一冊として蘇ったのは手放しで目出度い出来事である.この三人娘の話はあと二冊あるが,いずれ劣らぬ傑作である.文句なしに推薦.
2006-12-19 ▼ 仲良し女子高生3人組物語
『ライトな本格ミステリ』というには,中途半端な印象です.
女子高生3人が登場する割に,それほど明るくはありませんし,
事件のほうも,真相やトリックが単調でちょっと物足りません.
また,物語のはじまりから事件が起きるまでが長く,
2/3ほど読んだところで,ようやくといった具合です.
そのため,残り1/3で事件から解決までを語るのですが,
その事件も,女子高生3人組が片づけるわけではないので,
ただの『仲良し女子高生3人組物語』のような感じがします.
ライトかミステリ,もう少しどちらかが強ければと思うのですが….
ただ,このあとも続くようなので,ラブコメなども含めて期待します.
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発売日:2006-12-21
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龍の館の秘密 (創元推理文庫)
2008-01-15 ▼ 京都で溺死する
2001年に富士見ミステリー文庫から出た『激アルバイター・美波の事件簿 龍の館の秘密』の復刊。短篇「善人だらけの街」が加えられている。
「美波の事件簿」シリーズの第2作。
ライトノベルとミステリを融合させたという富士見ミステリー文庫から出たこともあり、非常にソレっぽい本になっている。登場人物が定型的すぎる点、筋立て・雰囲気・エピソードのバランスが悪い点などは、読んでいて気になった。しかし、前作に比べると遙かに改善され、読みやすくなっている。
しかし、ミステリとしての質が落ちた点は残念。プロットなどは洗練されてきているのだが、肝心のトリックがいまいち。前作のような大きなトリックがない分、ストーリーでカバーしようとしているのだが、まだまだ。
それでも、第一作から第二作への進歩はかなりのもの。また、断筆していたのが、2007年から復帰したということで、次作が期待される。
2007-11-28 ▼ 托鉢と留学生と龍
▼あらすじ
行方不明になった父を捜すための資金稼ぎとして、日々アルバイトに励む高校1年生の倉西美波。
今回やることになったのは、「立っているだけで一日二万円」の仕事!
そして、その仕事の成り行きで、なせか京都にある〈龍の館〉という画家の館を訪ねることに。
そこで美波を待っていたのは、またもや殺人事件だった!!
▼感想
ジャンルとしては、一応〈館もの〉になりますが、フューチャーされるのはあくまで、その「一部」。
そのため、〈館〉という閉鎖空間におけるサスペンス、という展開ではありません。
本シリーズの作品は、大雑把にいって前半が〈アルバイト〉パート、後半が〈ミステリー〉パート、といった構成になっています。
前作では、アルバイト自体が〈ミステリー〉(≒事件)と密接に関わっていたのですが、
本作では、直接的な繋がりはありません。
そのため、どうしても漫然と物語が進み、全体的に冗長な印象を受けます。
〈アルバイト〉というイベントは、美波が成長していくためのトライアルとして、作劇上、必要だと思いますが、
もう少し〈ミステリー〉と緊密に連関するプロット作りをして欲しいです。
キャラ達も相変わらずかわいらしく、少女趣味全開なので、そういった意味でも人を選ぶ作品といえます。
本シリーズ自体は、端正で、“本格マインド”を持った古き良きジュブナイル、といった希少なものなので、今後に期待します。
2006-12-28 ▼ スムーズに読めない
シリーズ2作目ですが,前作同様に事件が起きるまでが長く,
ほかに,前作をフォローする説明の多さや,そのタイミング,
また,必要と思えない状況でのこまかい描写も気になりました.
反面,特殊な『仕掛け』を持つ『館』のイメージが沸きづらく,
『仕掛け』の出てくるシーンでは,今ひとつ様子がつかめません.
単調だった前作より,凝っているとは思いましたが,
なにかにつけて,スムーズに読めないのが残念でした.
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発売日:2007-03-10
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砂の城の殺人 創元推理文庫
2008-01-15 ▼ からまわり
「美波の事件簿」シリーズの第3作。
休筆からの復帰であり、これまでのライトノベルという縛りからも解放され、期待の一冊であったが、間違った方向に進んでしまったという印象が強い。
相変わらず登場人物に魅力がない。特に主人公が馬鹿すぎるのがつらい。もう少し工夫できないものだろうか。
これまでの2作と比べて、本格ミステリ色がかなり強くなっている。大仕掛けのトリックはそこそこ面白い。しかし、全体のバランスが決定的に悪い。プロットが無駄に複雑化しているし、作品の雰囲気と事件の内容があまりにも不調和。作者の意気込みが空回りしてしまったのだろう。
2007-12-01 ▼ 「砂の城」≒廃墟
▼あらすじ
行方不明になった父を捜すための資金稼ぎとして、日々アルバイトに励む高校1年生の倉西美波。
今回は「二日で五万円」で、廃墟専門カメラマン・阿賀野瑞姫の撮影助手をすることになる。
親友の直海と、修矢の飼い猫であるケンゾウも同行し、向かった先は、今にも崩れ落ちそうな〈砂の城〉―瑞姫の実家である宇賀神邸。
そこで美波たちを待っていたのは、行方知れずになっていた瑞姫の母のミイラだった!!
▼感想
今回は、〈嵐の山荘〉もの。
密室殺人やアリバイトリック、意図せざる不可能状況といった正統派の道具立てに加え、
移動する死体、夜中のプールから宙に浮かぶ人影、といった怪異により、
〈館〉ものとしてのサスペンスが高められています。
ただ、登場人物が少なく、犯人の動機もはっきりしているため、
“意外な結末(犯人)”を望む、一般読者には退屈かもしれません。
筆者の施した伏線や手がかりから、不可能状況を推理する=〈ハウダニット〉を楽しめる人向きでしょう。
なお、本作ではケンゾウの“三毛猫ホームズ”的活躍や、
直海とかのこ、それぞれの個性が発揮された“素人探偵”ぶりなど、
レギュラーキャラに見せ場が用意されています。
(その煽りをくって、今回の修矢はやや影が薄いですが。)
美波の“父親捜し”にも、進展がみえた今回。
次回からは外国が舞台になるのか、はたまたこれまで通り、バイト→事件というパターンを踏襲するのか、
気になるところです。
2007-07-29 ▼ 登場人物に好感を持てませんでした
シリーズ3作目ということですが、それまでの作品を読んでいないので、
あくまでも本作だけの印象になりますが、登場人物に魅力を感じません。
主人公はただ慌てふためき、自分で物事を考えようとしない子供に見え、
何より探偵役である筈の修矢に好感を持てませんでした。
ぶっきらぼうなのは良いのですが、彼の内面などが書かれていないので、
本作だけでは感情移入がしにくいものでした。
この2人がタメ口なのも、どうも違和感を覚えます。
同じ高校に通う同級生とかなら納得もできますが、修矢が主人公より年上なのに
このような関係になるのか、甚だ疑問です。
探偵役が男なので、どうしてもロマンスめいたものを期待してしまいますが、
修矢に好感を持てないのでは、作品の世界に入っていけません。
主人公の友人がべらんめえ調やお嬢様言葉を話すというのも、現実感がないように思いました。
ストーリーの方も、主人公の父親の行方不明話とミステリが結び付かないという印象を受け、
修矢が殺人現場に到着するのが最後の方でそれまで主人公の友人が探偵を務めるというのはちょっと回りくどいというか、
別に修矢が主人公と一緒に行くという展開でよかったのではないかという気がします。
全体的には、バランスが悪いという印象でした。
真相そのものも、もう少しシンプルにしてほしかったのと、
主人公がアルバイトをする展開も無理矢理に見え、仕事先にペットを独断で連れていくというのも問題があるように思えました。
あらすじだけ読むと魅力的に思えたのですが、設定などをうまく活かしきれなかったように感じて残念でした。
2007-04-12 ▼ よけいなやり取りが目立つ
数年ぶりの書きおろしとなるシリーズの3作目です.
作中,ところどころで入る状況説明がまどろっこしくて,
話の腰を折っているような印象があるのが引っかかります.
かといって,後半への伏線になっているところもあまりなく,
ページが厚いぶん,もう少しすっきり読ませてほしかったです.
また,普段はドジであまり役に立たない感じのする主人公が,
その『説明役』にまわった途端,急に大人びたようになるのも,
まるで棒読みのような言いまわしで,どうもしらけてしまいます.
事件も,これまでの2作より練られていたとは思うのですが,
早いうちに真犯人に気づいてしまい,トリックもかなり平凡.
何度もひっくり返る終盤の謎解きも,オーソドックスな事件を,
逆にややこしくているだけで,むしろ逆効果のように感じました.
残念ながら,ちょっと自分には合わない作品だったようです….
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