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公益を実践した実業界の巨人 渋沢栄一を歩く
2009-12-25 ▼ 写真ツキで嬉しい。
やはり違った視点から渋沢先生を学ぶことは意義深い。渋沢先生にまつわる場所を巡り、写真を掲載してくださっているのがありがたい。また、巻末の年表も事実が端的に記載されていてありがたい。若干、エッセイ風であるところは好き嫌いがわかれるところかと思う。願わくは、もっと沢山の写真を掲載していただきたかった。
2006-10-01 ▼ 渋沢栄一を辿る道
渋沢栄一の名前は聞いたことがなくても、今の日本に生きているのならばきっと生活のどこかで関係したことがあるはず。明治時代に生きて、様々な業績を残し今の時代へと引き継がれている。本書ではその渋沢栄一の生きた道をたどって、そのときに何を感じていたのかを読み解く。
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ムスリム・ニッポン
2009-07-09 ▼ 1945年に日本が戦争に負けて以来、抹消を余儀なくされた世界の発掘
発売直後に入手して読んだ。改めて古書で購入し、再読した。やはり、空白の部分の発掘はプロの手並み。論文ではなく読み物なので、個々の出来事の出典がどれからなのかまでは不明。そこが惜しいが、それは無いものねだり。以後、徐々に論文でもこの分野が取り上げられ始めている。
最初に取り上げた快挙を評価したい。著者の勢いに感謝。
ただ、戦略的にムスリムを活用した側面だけがクローズアップされた箇所は、気になる。ムスリムの亡命者を労り、イスラームにのめり込んだ人たちもいたからだ。
2009-05-31 ▼ 筆力不足
黒船襲来から開国、江戸時代から明治時代への移り変わり。
日本は西洋諸国との関係を主軸に大きく国家の姿を変えていく時代であった。そんな時代に日本と西洋の間に存在するアジア、そのなかでも距離も心情も遠く隔たったイスラム世界とどのように出会い、関わっていったかを追跡したのが本書である。
テーマとしては面白いし、壮士というべき人物も多く、破天荒なエピソードも多く転がっていそうである。それでもどうもいまいちわくわくしない。筆力不足を感じる。
劇的であればよいというのではないが、あまりにも淡々としすぎてページをどんどんめくりたいという気を起こさせない。おそらく、それぞれの人間の内面への掘り下げが浅いからではないかと推測される。大川周明や北一輝といった有名人物はともかく、今では名を知られることも少ない、草創期の関係者については人間性をより見える方向で筆を進めた方が読み物としては面白くなっただろう。
ノンフィクションとしての事実重視の姿勢かもしれないが、より読ませる工夫がほしい。
2006-06-21 ▼ アジアと中東を結ぶ情報のシルクロード
力作である。日本人が忘れ去ったとはいえ、かつての日本には本当の国士たちがいて、志を持って日本と世界の関係を考えていた。それも単なる民族主義の枠組みを超えて、ユーラシア大陸のレベルで政治と歴史を考え、それに向かって命を懸けていたのである。こういった戦前の日本人に較べると、今の日本で青磁をやっている小泉、安倍、麻生といった、吹けば飛ぶような思想も志もない、ふざけた連中に好き勝手に弄ばれている国家とは、一体何かと感じで呆然とした気分になる。本書は21世紀国際ノンフィクション大賞の最優秀賞を受け、輝かしい名誉にふさわしい内容のものだ。それにしても、果たして本書を読むにふさわしい読者が、今の日本に何百人いるかが気になってしまう。それだけ読み応えのある本である。
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無用の達人 山崎方代 (角川ソフィア文庫)
2009-06-26 ▼ 人に迷惑をかけて生きてもいいんだ
仕事に就かず、酒におぼれ、嘘ばかりついてホームレスのように暮らす歌人、山崎方代。
しかし彼の短歌に惹かれた人は酒を持って彼のもとを訪ね、ほら話を喜んで聞き、その後も彼の面倒をみるようになる。
かなりあくが強く、扱いにくい人間であるにもかかわらず、まわりの人間は温かく彼の世話をする。彼に触れることで心がきれいになるようだ。それだけ方代に人間的魅力があるということだろう。
私たちは人に迷惑をかけてはいけませんと子どものころから教育されてきたが、この本を読むと時には人に迷惑をかけることは必要なことなのではないかと思えてくる。最後に私の好きな方代の歌をふたつ
一日がうき世のように長いので急須の垢をこすって落とす
いつまでも転んでゐるといつまでもそのまま転んで暮らしたくなる
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タッチアップ
2009-02-04 ▼ 高校野球への潜在的な願望
ノンフィクション作家である著者が描く、初のフィクション。
現実の野球部で、これはと言うプレーヤーどうしが示し合わせて同じ高校に
行くというシチュエーションは、自分の知る限り見たことが無いので、
若干リアリティに欠けるにせよ、『平凡な公立校』が高校野球で善戦すると
いうストーリーを描くにあたり、辻褄を合せるためにはやむを得ない部分
なのだろう。
「ドカベン」や「MAJOR」同様、神奈川県を舞台にした作品ではあるが、
部活動にあまりリソースを注ぎ込むことが出来ない公立校が甲子園を
目指すストーリーは、実際の第89回大会で優勝した佐賀県立佐賀北高等学校を
彷彿とさせる。
サッカーの話で恐縮だが、ワールドカップで優勝したナショナルチームと、
トヨタカップで優勝したクラブチームを比べたら、明らかにクラブチームの
方が強いと言われている。
ナショナルチームでは、多少パフォーマンスが劣っても、同じ国籍の人間
からプレーヤーを選ばなければいけないが、クラブチームでは、
自分のチームに必要な人材を世界中から集め、適材適所の配置ができるからだ。
高校野球においても同じような図式が、地元の生徒しか来ない公立校と、
日本全国に散らばる金の卵をかき集めた私立の強豪校という形で成り立って
おり、しかも、同じ土俵で戦っている現実。それを踏まえれば、
日本人の判官贔屓気質がもろに出ている作品と言えよう。
2008-08-29 ▼ 北桜高校のナインは最高!
田澤拓也の初めての青春小説。青森の成田本店でカズキンと会った時に、ぜひ読んでとお薦めされた本。ビックコミックスペリオールにも漫画化されて連載が始まったそうだ。
物語は横浜の県立高校野球部の話し。弱小になっていた野球部に、なぞの草野球のエース吉沢が転校生なのに、速急ピッチャーとして現われる。
読み始めは説明的な文章が気になったけど、テンポ良いストーリーと、感動の場面がいっぱいで、ときどき涙流しながら、電車の中で読みました(^^ゞ
素直に面白かったよ!漫画も面白くなりそう(^O^)/
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虚人 寺山修司伝
2009-01-07 ▼ 衝撃のアンチ本か?
高校の17年後輩が書く読み物としては衝撃的だ!
初出は、故郷の初恋の人で、同郷人ならではの取材力は評価に値する。これは1つ☆だ!
大筋は割とテレビ草創時代の仕事ぶりやスキャンダル、男女関係をやや小説的に描いている。
寺山修司氏の早世を惜しむ本が多い中、この著作は初めてのアンチ本ということか?
ただ、高校大学の後輩として許されるのか?身に置き換えるとありえないことである。
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無用の達人―歌人山崎方代伝
2008-05-07 ▼ 欄外の人物の一生
戦争の傷跡を重く負っているにもかかわらず、あるいは、負っているゆえに、決して反戦歌人、平和歌人とはならず、一見飄々と、ただ歌人としての栄誉には恬淡としていたわけではなかった、一代の奇人歌人、山崎方代の、特に鎌倉在住期に中心をおいた評伝です。
彼の、虚実入り混じった言説を、丹念に検証しており、興味深い内容です。無名だった彼が、徐々に知られていき、歌友、知己が増えていく過程がよくわかりました。
この本には載っていませんが、方代の歌の中で最も好きなもの
欄外の人物として生きてきた夏は酢蛸を召し上がれ
2003-06-18 ▼ まさに奇人。
俵万智さんの「あなたと読む恋の歌百首」で紹介されていた「ひとつだけ本当の恋がありまして南天の実が知っております」の歌に惹かれて方代さんの名前を記憶していたんですが、この本ではじめてどういう方だったか分かりました。まさに奇人というか、なんというか・・・この「困ったちゃん」ぶりと、随所にちりばめられている方代さんの歌とのギャップが、とても楽しい一冊です。
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虚人 寺山修司伝 (文春文庫)
2007-07-19 ▼ 「寺山修司」とは何だったか、に迫る傑作!
寺山修司はマルチな才能を持っていたとされている。たしかにその通りではあった。
しかしとくに修司が俳句、短歌、詩、シナリオ……と次々と、
当時で言うと「新しい世界」を開拓していった裏には、「模倣」と「コラージュ」があった。
そのことを著者は丹念に取り上げていく。
たとえば彼は第二回の「俳句研究賞」を受賞するが、その作品のかなりのものが、
高校時代に夢中になってつくった俳句の改作といってもよかった。
この家も誰かが道化揚羽高し
という俳句は
この家も誰かが道化者ならむ高き塀より越え出し揚羽
……に。
実際、この受賞後にはかなりのバッシングに遭ったという。
しかし著者の田澤氏は、「おそらく修司に罪悪感はなかったはずだ」と言い切る。
つまり、寺山修司という希有な才能は、さまざまな作品をコラージュして
パッチワークのようにひとつの別作品を創りあげることにあるのだが、
それこそが「虚構」に彩られた修司の才能でもあり、人生でもあり
価値観でもあったのだ……と。
時代もあったのだと思う。修司が世に出始めた頃、
さまざまなメディアや文学界が「新しいもの」「型破りなもの」を求めていた。
石原慎太郎しかり、大江健三郎しかり……。
修司はその時代の空気をわしづかみする才能にも長けていたと思う。
しかしだからといって私は寺山修司作品を嫌いにはならない。
やはりあの言語感覚は、とても真似のできないものだからだ。
修司ファンにも、そうでない人にもお勧めである。
2005-10-24 ▼ 寺山修司の真の人間像に迫る
自己顕示欲が強い。田舎ものコンプレックスも強い。父は早く死に、母は米国軍人の愛人となった人。体は弱い。俳句、短歌、脚本等には”盗作”匂いがつきまとう。妻には裏切られる。へー、寺山修司って、そんな男だったのか。本稿筆者は、天井桟敷と「のぞき」ぐらいしか寺山修司についての知識はなかった。本書の著者は、寺山修司と同じく青森高校の出身。地の利とノンフィクションライターとしての立場を生かし、文献のみならず多数の人物からのインタビューを重ねて、本書を編み出した。山田太一や谷川俊太郎等の人物がチラチラと出てきて、読書の楽しみを誘う。著書の”仕事”には敬服する。寺山修司は、”天才”だったのだろう。でも、「かわいそうな人だなあ」というのが読後感。
2005-10-15 ▼ 東北に生まれたことを誇りに思う。
70年代のヒーロー寺山修司の人間に迫ったドキュメンタリー。著者は寺山を丁寧な取材と作品の解読をつうじて、「コラージュ」の人であることを突き止める。和田勉のコメントが全てを表している。寺山修司は田舎者だと。「田舎者だから都会が珍しいもんだからコラージュにならざるを得ないんだ。この都会全部集めるとすると。面白い面白いでダーと並べていくしかないですよ」と。劣等感と青森と母親との関連が複雑に入り混じって「天才 寺山修司」が出来上がっている。本書はそんな寺山の一端を知る事ができる。本当に知りたい場合は彼の著作を読むに限ります。
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百名山の人―深田久弥伝
2002-04-04 ▼ 人生を深く考えさせる本
深田久弥は「日本百名山」や「シルクロードの旅」を読んで知っているつもりであったが、その生涯については殆ど知らなかった。なるほど初期の作品は北畠八穂のものであったろうが出版社や文壇への深田の人脈がなければ世に出なかったと思う。また深田も北畠なくしてはただの山好きな俳句読みで終わっていたかも知れない。少し北畠を悪く書いているなあと思うのは同県人だからだろうか。この伝記そのものはテンポも速く一気に読ませてくれるし、多くの関係者の生の声が随所にもられ飽きさせない。太宰治や川端康成などとの関係も興味深い。深田久弥は多くの山々に登ったり、シルクロードを旅したり幸せな一生を送った人だと思っていたが、多くの煩悩を背負っていたことを初めて知った。
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空と山のあいだ―岩木山遭難・大館鳳鳴高生の五日間
2001-10-16 ▼ 山を愛する人へおすすの一冊
昭和39年(1964年)正月,冬の岩木山(青森県)で起こった大館鳳鳴高校山岳部員の遭難事件をドキュメントした好著。歴史の中に風化してしまいかねない「小さな題材」を当時の資料,生存者の証言から丹念に掘り起こし,ひとつの事件の中で錯綜する人間模様を描き切っている。そして,霊峰・岩木山そのものがこの本の「主人公」であることに気づいたのは私だけだろうか・・・? 学生時代を弘前で過ごし,岩木山に何度も登った経験者より
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脱サラ帰農者たち―わが田園オデッセイ
2001-03-20 ▼ のびのびした生き方に感心
90年代になって、大企業を辞めて農業をはじめるサラリーマンが増えているという。この本は、資金の問題や家族の問題、などを抱えながら、農業をはじめることで小さな幸せをつかみつつある29人を紹介している。 この本を読んで一番印象的だったのは、脱サラした人たちの、肩の力が抜けたサバサバした生き様である。本人は、「自然の流れで田舎にきた。」と言うように、それほど一大決心したわけでもなく、むしろびっくりしているのは上司などの回りの人たちだったりする。 右肩上がりの経済成長の中で、日本人は、「定年まで安定した企業で働き、その後は、家でのんびり過ごす。」という画一的な考えにいつしか縛られてしまっていたのだろうか?これまでの価値観から自由になることで小さな幸せをつかんでいる人たちの息吹を感じて、すがすがしい気分になった。
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